木造軸組金物構法
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■安定した柱・梁・土台の接合方法として、我々は、木造軸組金物構法を追求しています。
■当社はクレテック・サークルの会員として、株式会社タツミのクレテック金物を推奨します。
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金物
(かなもの)
について
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クレテック金物は、木造軸組工法の合理化と品質の安定化を図るべく作られた、柱・梁・土台の接合・補強用の金物です。
クレテック金物は、株式会社タツミの製品です。この種の、「木造軸組金物構法」とも言うべき金物構法は、他のメーカーからも何種類か提案・商品化されていますが、クレテック金物はその先駆けであり、代表的な商品として一般に認知されています。
他のメーカーのものは、若干、金物の形状が異なりますが、いずれも構法としての考え方が類似しているところから、クレテック含めて、全て「木造軸組金物構法」と呼ばれています。
これまでの木造軸組構法では、金物は単に部分的な補強だと考えられていました。 木造軸組金物構法では、金物がなければ軸組は成立たない、すなわち全ての荷重や地震力が金物を介して伝えられること点が最も異なります。
構造材はプレカット(あらかじめ工場で裁断したものを現場に搬入する)を行ないますが、いわゆる軸組構法の継手のプレカットが、大掛かりな設備やオペレーターの技術を必要とするのに対して、クレテックのプレカットは、比較的簡単な工作機械で加工ができることから、中小の工務店や工場でも加工を行なえるようになりました。
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クレテック金物の特徴
(株式会社タツミ カタログより引用)
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種類:アゴ掛け金物・ホゾパイプ・ボルト・ピンにより構成されています。
1)強度:軸組工法の仕口継手部分を金物に置き換えました。「クレテック」は、必要でバランスのより耐力をもち、躯体をハイレベルで均一に緊結します。
2)コスト:シンプルな形状によるこすとパフォーマンスの良さに、タツミの金属加工技術が付加された省コストを実現しました。
3)施工法:現場作業が簡単に早くできるので、熟練者を付ける必要がありません。「クレテック」により工程、工期を検討し、他能工化、作業分担等による合理化が計れます。
4)木材の加工性:木材加工が簡単で熟練技術(墨付け等)を必要とせず、完全部材化も可能です。「クレテック」用プレカット工場のネットワークも整備され加工インフラが整いました。
5)市場のオープン性:在来構法がベースとなっており自由設計です。工法の取り組み方も自由で、「クレテック」はどこでも自由に購入できます。そのため抜群の使用実績で、厚い信頼があります。
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ネットワーク
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クレテック金物は、株式会社タツミによる「クレテック・サークル」の会員でなければ使用できません。会員は、クレテック金物についてのマニュアルを体得し、それに基づいて設計(構造計算)から施工管理まで行います。
クレテック金物は、建築基準法施行令47条における、「その他国土交通大臣の定める構造方法」の仕様規定を認定によって満たしています。これは、株式会社タツミが自ら実験と構造計算によって認定を取得したもので、建築確認申請ではこの結果を照合、利用することができます。しかし、こうした新しい法への適合実験や調査、構造計算などには膨大な費用がかかるため、金物を使用する人達にネットワーク参加を求めてまかなっています。その参加費用とひきかえに参加者は研究データを使用できるしくみになっています。
こうした理由から、クレテック金物を使用するにあたっては、設計事務所や施工会社は、「クレテックサークル」というネットワークに参加する必要があるのです。
当社もこのネットワークに参加していますが、単なる金物の使用権という範囲をこえて、金物と新しい法律の関係を勉強する多くの機会をいただいています。
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補強金物と
法律
1-1)阪神大震災以後に改正、追加された建築基準法の金物規定
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平成12年の6月の改正によって木造建築物の接合部「施行令47条・告示1460号」が改正されました。規定の構造計算や実験(性能規定)などを行なわない場合には、構造上重要な接合部には必ずZマーク表示金物(もしくは同等の認定金物)を使用しなければならない(仕様規定)ことが明文化されました。
以降、一戸生産の住宅などの小規模な建築物の場合には通常の方法としてはZマーク金物によって仕様規定を満たす設計が一般的になりました。仕様が規定されている箇所は大きく以下の2つです。
(1) 筋かい端部の仕口 (2) 柱頭・柱脚と横架材の仕口
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1-2)Zマーク金物の意匠性に対する当社の考え方
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法改正によってZマーク金物などの使用が一般的になっているとはいうものの、金物が部屋の中に露出した場合には、Zマーク金物は美しくないと我々は考えています(しかし100%否定しているわけではもちろんありません)。
在来構法でも、性能規定の方を選択して、構造計算によって安全上の確認を行って露出箇所を中心に金物を減らす試みは行われていますが、当社がクレテックのような認定された金物構法を好んで使用する理由は、露出しても美しく、また力の伝達バランスがよいことに加えて、在来構法の継手に要求される精度について、工場や職人の技術によるばらつきを無くしたいと考えるからです。ただし、伝統的な在来構法の継手は、金物を使用せずに美しくデザインすることも可能ではありますし、そうした職人を多く確保できる環境が整う現場(コストやタイミング、現場の地理的要因等)では、もちろんそうした伝統的な構法を採用を考えることもあります。
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品確法と
性能表示
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「日本住宅性能表示基準及び評価方法基準」が定められたため、この基準に基づいて評価された住宅が今後世の中に普及することになります。
この制度の中で住宅性能評価業務の合理化を目的として「住宅型式性能認定(一般に「型式認定」といいます)」等の規定が整備されました。これは、形式のタイプ(型式)をあらかじめ審査してもらって認定をとり、その条件を満たす住宅又は住宅の部分は、設計の仕様を照合するだけで性能表示を得ることができるというものです。
大手のハウスメーカー等は、何千種類もの型式認定を申請、取得しています。これは、中小の設計事務所や工務店、ゼネコンでは不可能なことです。株式会社タツミは、金物として最初の型式認定を取得しており(現在はタイプがごく限られますが今後はさらに認定型式を増やす予定だそうです)、クレテックサークルのネットワークに参加することで、我々もこの認定型式の使用が可能となりました。
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品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)
平成11年に施行
主な目的は、住宅の性能表示を可能にすること、住宅に関する紛争の処理体制を整備すること、新築住宅の請負契約や売買契約に瑕疵担保責任を定めること、です。
性能の基準は、確認申請図書作成と同時に書類を作成し、工事監理の各段階で検査を行ないます。図書によって性能を表記し、現場で実際に検査確認して図書の通り施工されたことを保障することで、性能表示の認定を得ることになります。
この図書作成には費用と時間がかかります。これを省略できるものとして「型式認定」が定められていますが、この認定に照合できない事例については、建築確認申請と合わせて性能評価書を作成することになります。この性能評価書は、より高品質な住宅を得られるというだけでなく、竣工後の建物の価値を保障するものとしての役割もあり、保険や融資、売買に有利に利用することができます。
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